株式投資物語 (第1章~第12章) (株式投資日記より)
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個人投資家が陥りやすい罠を、時系列に沿って物語に。初心者もセミプロも必見!
MA投資です。
前回のメルマガ、株初心者の方が投資家になるリアルな体験談は
大きな反響がありました。
さて、今回は個人投資家が犯しやすい間違いを「物語」にしてみます。
少しでもお役に立てれば幸いです。
『株式投資物語 1年6ヶ月』
■■ ~株式投資物語『1年6ヶ月』~■■■
この物語はJ・マキナニーの「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」
(80年代 米国)と同様、第二人称視点で語られます。
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第1章「友人の自慢話に刺激され」
貴方は、自身が従事する職業で、既に不動のキャリアを築きつつあった。
ある日、友人から「飲み代を株で稼いでる」という
自慢話を聞いた。
貴方は友達に聞く。
「株ってリスクが高いんでしょう?」
友人は言う
「うまくやれば,結構儲かるよ。この前なんて300万円儲かったし」
貴方は、その友達が騰がりそうな銘柄の話ではなく、
成功体験しか語ってくれないと感じた。
そして、PER・PBRなどとちんぷんかんぷんの友人の言葉を
聞くにつれて、自分はもっと勉強しなければと思う。
友人について勉強する気にはなれなかった。
いい気になった顔をされるのは気持ちのいいものではない。
独力で、挑戦してみよう。
たしかに「失われた10年」を得て、日本経済は回復傾向にある。
株を今やってみるのも悪くないかもしれない。
● 客観的な判断をするためには、投資仲間が必要であることに
貴方はまだ、気づいてない。
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第2章「世の活字に舞う投資銘柄」
貴方は自分に自信があった。あいつが儲かるのであれば自分でも
儲けることができるだろう。
貴方はまず日経新聞の日曜欄に目を通してみた。
「株式投資とは、投資を通じて企業を育てることであるのです!」
なるほど、株式投資はギャンブルじゃないんだ。
ネット証券会社の新規口座申込みの宣伝がその記事の下にあったが、
どうやら、子供でも簡単にトレードができるらしい。
世の企業に投資して、それが回りまわって世の中のためになるんだ。
結構 面白いんじゃないかな?
本屋に出かけた貴方は株式雑誌や書籍を手に取る。
「日経カネー、明日の成長銘柄、厳選30」
「ダイヤモンド・ダイ、日本株は今は買い!期待される中国関連銘柄」
「北浜三郎の株をやるなら今やれ!」
「誰でも寝てる間に大儲け!自動売買で素人が10億円!!」
株式雑誌で取上げられている銘柄の中で、
自分の知っている会社があった。
デジタル家電の松上電器だ。これは知っている。
たしかにハイビジョンテレビはいいかも。
中国も元気そうだし。
そう言えば、あそこに勤めている奴も、
いい会社と言っていた。
よし、松上電気を買ってみよう!!
● 「投資家にとって良い企業」と「従業員にとって良い企業」は明確に
異なることを、貴方はまだ知らない。
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第3章
「インターネット・バイオ・テクノロジー・ホールディング社との出会い」
貴方は以前にも増して、株式投資に強い興味を持ち出した。
インターネットで株関連のサイトを見るのも楽しみになった。
ある日、証券会社のレポートに推奨銘柄が載った。
どうやら、その著者は猛烈に、
「インターネット・バイオ・テクノロジー・ホールディング(IBTH)」という
銘柄を推奨している。最近、東証マザーズに新規上場したようだ。
その著者によると「インターネットは日本を制覇し、今後は高齢化社会で
とりあえずバイオであり、さらに、ホールディングカンパニーとして
M&Aを繰り返し、よってIBTH社は今後、大きな成長を期待される」という。
貴方はIBTH社を「四季報」で調べてみた。四季報はバイブルだ。
その会社は過去、低調であるが、
来期は大きな利益をあげる見通しであることが分かった。
皆が買う四季報が言うのだから、間違いが無いだろう。
折しも、週刊近代や週刊ポステで著名な株式評論家が
その銘柄を推奨していた。
貴方は思う。
「今、この銘柄を買わないと、もう買えなくなるかもしれない」
貴方はIBTH社の株を購入した。
優秀な自分が負けるはずはない。なんといっても、成長株。
長期で保有していれば損はないだろう、と。
● 貴方はまだ、IBTH社が個人投資家からお金を巻き上げる為の
裏口上場企業であることは、勿論、知らない。
● 四季報や証券会社のレポートを書く著者がどのような能力を
持つ者かを判断する術はまだ無かった。
● 何より、決算書の読み方を学ぶ必要性すら、理解していなかった。
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第4章「天才トレーダー誕生」
ネット証券を開設し、はじめて買った銘柄、松上電気。
毎日、株価が気になってしかたがない。
毎日2%騰がったと思うと、3%下がったりする。
ヤホー掲示板も毎日見た。
上級者風の人に質問したら、「筋が動いているから大丈夫」だって。
ヤホーID:toushi_no_kamisama_DA さん
ありがとう!そうか、やっぱり大口の機関投資家が動いているんだ。
そうこうしているうちに、買値より10%騰がった。
貴方はそこで売却した。
初めて得た不労所得の快感が、貴方の脊髄を駆け巡る。
「私はもしかして、株の天才なんじゃないだろうか?」
給料なんて、たかが固定給。だけど株の利益は大天井。
本腰を入れて研究だ。
● 貴方はまだ市場の9割が負組みであることを理解していなかった。
9割の投資家の発言は負けオーラを出していることに
なぜ気がつかなかったのだろう?
● なぜ美人投票なのに9割が最終的に負けるのだろうか?
● 勿論、機関投資家の売買手法を貴方は知らない。
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第5章「IBTH社が下がる理由」
貴方はIBTH社を保有していることで、何か資本家のような大きな気分になれた。
そして、それなりに上昇トレンドを続けるIBTH社に対して、愛着すら生まれていた。
貴方はIBTH社を友達にも勧めた。
ある日を境に、IBTH社の株がゆっくりと下がり始めた。
IBTH社が下がる理由が貴方には分からない。
こんなに成長性があるのになぜ?
そんなある日、市場全体が大きな下げに見舞われる日が来た。
突然のストップ安3連打。
貴方は、買値よりも45%も安いところで、思わず、「損切り」をした。
皮肉なことに、株価は貴方が手放した翌日に、大きく気を吐き、
株価は上昇していくのだった。
貴方はテーブルに置き忘れたマネーに強い悔しさを覚えた。
なぜ、よりによって最も底値で売ってしまったのだろう?
貴方は思う。チャートが重要だったんだ。
買値・売値を予め理解すべきだったんだ。
株価は需給で動くものさ。
● 「損切り」とは一定のルールに、一定の含み損が出たときにロスカットすること。
「投げ」とは恐怖に駆られて何も考えずに投げ売りすることである。
勿論、貴方はその違いを認識していない。
● 市場全体が大幅に下げる時にはどんな個別銘柄も下げるものである。
そしてその後、個別銘柄の企業成長力に見合う形で株価が戻るという
メカニズムすら、貴方はまだ理解していなかった。
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第6章「テクニカルチャートは嘘をつかない」
貴方は、株式投資の世界で信用できるものは唯一自分であり、自分を支えるもの、
そして嘘をつかない唯一のものとしてテクニカル・チャートを重視する。
移動曲線・RSI・一目均衡表・ゴールデンクロス・フィボナッチ曲線・・・
それぞれの指標を分析する。最新鋭のソフトも手に入れた。
なぜか分析すること自体が楽しいのは気のせいだろうか?
今や、テクニカル・アナリストよりも詳しいぞ、自分は。
例えばMACDを25日で分析した場合には、買いサインがなかなかでないが、
15日で分析した場合には、買い時・売り時がサインでわかりそうだ。
こんなことを知っている奴は自分しかいないぞ。
● 貴方は、テクニカル指標のパラメータをいじることに精一杯で、
自分の行為は「過去のチャートの癖に自己満足な説明文」を
付与しているに過ぎず、将来を予想する作業をしているわけではない、
という現実に気がつかない。
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第7章「絶好の買場の発見、全力買い!」
貴方はある日、例のIBTH社の買いサインを発見した。
トレンドが下げている中で、まさに反転のシグナルである。
これまでにテクニカル分析である程度の利益を出してきた。
投資可能金額もある程度、大きくなっていたのである。
貴方は、IBTH社を買ってみた。
翌日、IBTH社は下がってしまう。
貴方が愛用して独自にチューニングした指標では、まだ買いサインが出ている。
貴方はナンピンしてみた。何せ、これまでの利益がある。
資金が多いということは何かと、強気な戦略が取れる。
ただ、1つ気になることがあった。異なる指標で売りサインが出てきたことである。
貴方はサインのパラメータを弄ってみた。
すると、そのパラメータでも、買いサインになるではないか!
やっぱり、自分の買いに間違いはなかった。
● 貴方は「最適化の罠」というミスを犯していることにまだ気づかない。
● チャートの指標はその指標を何名が信じ、その指示に従うかで、
その効力が決まるに過ぎないことに、当然ながら貴方は気がつかない。
勿論、貴方独自の指標は貴方しか使っていないのだ。
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第8章「含み損が拡大、失われたプライド」
最近、期待に反して、含み損が拡大していく。
自分のプライドが傷つけられる。
ヤホー掲示板で暴言を吐き、ストレスを解消を図る。
でも、ただむなしいだけだった。
いつのまにか、IBTH社の1社に全力で買いを立てているため、
他の株買うためには、この株を売らなければならない。
貴方はテクニカルチャートで買い場を選んだことを忘れ、この株を
長期保有で持っていたことにする。
もう株価のチェックもしなくなった。
所詮、株なんてあてにならないのである。
でも、長期保有は、過去50年間、銀行預金よりもパフォーマンスが優れていたのだから、と自分に言い聞かせる。
● 愚者は自らの投資戦略を持たない。状況に影響されるだけである。
● 愚者は他の大多数の愚者を参考にする
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第9章「IBTHの社長室にて」
その頃、インターネット・バイオ・テクノロジー・ホールディング社の経営陣は、
監査役との折衝に追われていた。
IBTH社の社長は思う。
社名にインターネット・バイオ・ホールディングとつけて、
個人投資家に高値で買わせたIPOは、うまくいった。
ネット関連、バイオ関連、M&A関連、まさに個人投資家が喜びそうな
名前にした甲斐があった。この会社の経営陣になる前、長く証券業務に関わってきた
感性は伊達ではない、と思う。
証券会社も、うまく玉を個人投資家に嵌め込んでくれた。
なんだかわからない会社ほど、人の興味をそそるものである。
株式分割をして、株高を演出し、その高値で自分の持株を売りぬいた経営陣としては、
既に10億円を越える大金を手にしていた。
勿論、IBTHの社長は、自分が売ったことを市場に知られないように、
「グレート・インベストメント・スペシャル・ファンド匿名投資組合」という
海外オフショア法人を通じて持株を売買しているのだった。
そんな折、いつも言いなりだった監査法人が
「もうIBTH社の監査から降りたい」という。
そう、架空の売上で彩られた決算書を監査法人としては承認することは、
監査法人のリスクとなる。
そんな時代は変ったのだった。
経営陣は、言いなりになる別の監査法人に切り替えた。
勿論、報酬はたっぷりだ。
それは証券に関わる者たちの間では大きな話題になったが、
個人投資家の大半は意識をしていなかった。
● 架空売上等の粉飾決算は、相当多い、という現実を貴方はまだ知らない。
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第10章「デイ・トレーディング」
IBHは塩漬けだか、これは長期保有銘柄である。
貴方は新たに手にした資金で株式市場に再度挑戦する。
雑誌の推奨銘柄を参考にするのも、やめた。
テクニカルチャートも、どうも売買サインがうまくいかない。
貴方は、株式を中長期で保有しようとするから、予想が困難であって、
保有期間を短縮すればリスクが低いのではないか、と考えた。
つまり1日の間に売買すれば、それだけリスクも低く、銘柄のボラティリティに
よっては値幅を取れるのでは、と考えた。
折しも、テレビ東都で、
デイトレーダが150万円から1億円まで資産を増やしたと報じていた。
過去、自らを天才とみなした自己認識はIBHで崩れてしまったが、
デイ・トレーディングは自分に向いているのかもしれない。
ファンダメンタルも何もない。要は儲かればそれでいい。
1日10%の利益を取れば10日で資金は倍にできる
これを続ければ1ヶ月で資金を何倍にもできるのではないか?
●貴方は同じことを考えるデイトレーダの集団の中で、自分だけは
彼らに勝つことができるという自信の根拠を考えるのを止めていた。
●貴方は、長期保有といいつつ、その企業の事業競争力に関して調査を
したことは無い。
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第11章「連戦連勝、勝利の美酒の中で」
貴方は毎日の株式ランキングで値上率の上位銘柄をチェックする。
そして、出来高が多い銘柄をチェックし、翌日のデイトレーディングに
備えるのが日課となる。
場が開けばモニターに釘付けになる。
本業は16時から頑張ろう。まずはトレーディングが重要だ。
買板が厚くなった銘柄に飛び乗り、2ポイント高値になったところで売却。
逆に1ポイント下げた所で必ず損切りするつもりだ。
連戦連勝の中、大きな自信、「トレードの天才」とは自分のことだ。
10戦9勝1負。結果がすべてだ。全体として資金が15%ほど増えてきた。
このまま行けば2年後には投資収益1億円を達成できるのでは?
どんな銘柄でもいい、値動きさえ激しければ。
● コイン投げを100回繰り返した場合、裏と表が交互にでるとは限らない。
表が連続10回出ることも不自然ではないことに、貴方はまだ気づかない。
● 投入した時間に対するリターンで見た時に、デイ・トレーディングは割に
合わないことに、まだ実感は無い。
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第12章「調子が悪い・地合が悪い」
どうも最近、調子が悪い。今は30戦13勝17敗だ。
投資収益としては、やや負けこんでいる。
1敗したあのトレード、1ポイント下げた時に損切りするはずが
あっという間に10ポイントも下げてしまった。
その後、自分の判断が歪んだのか、
同日には連続でさらに3敗してしまった。
体調が悪いのだろうか?
どうも、最近の地合ではうまくいかない。
まぁ、そのうち地合が良くなってくるだろう。
そう思っている矢先に、塩漬けだったIBHがやや値を戻してきた。
連日連騰していくIBHを見ていると、また買いたくなってきた。
ついに借金をして、資金をIBHに大きめに回してみる。
● 人は負けている時ほど大きなリスクを取りたくなるものであることに
勿論、貴方は気がついていない。
● なぜ安値で買って高値で売らなければ利益は出ないのに、
高くなり始めてから買おうと思うのだろうか?
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個人投資家が証券口座を開設し、その口座の残高がゼロになるまでの
「生存期間」は平均1年6ヶ月。
市場からの退場の宣告を受けるまで、貴方に残された時間は「後7ヶ月」
~株式投資物語1年6ヶ月~
次章につづく
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以上 ご愛読有難うございました。
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