株価を巡る妖しい情念の狭間で(1)

2004/11/29

株価が玩具になることがある。株価が妖しい動きをする時、誰が何の意図で、そのような株価を実現せねばならないのか?を理解しなければいけない。なぜなら投資は自己責任。某企業再生グループの社長に文句の投書をしても始まらない。ヤホー掲示板に書き込んだところで時間の無駄である。企業の資本政策から目をそらしてはいけない。

例えば丸石ホールディングス。つい数ヶ月前、個人投資家の週間取引高で一位になった株である。MA投資がたまたま友人と話をしていたら、「俺さ、マルイシいじってるんだよねー」と誇らしげに語る株初心者の男がいた。丸石ホールディング、それは「麻薬」に手を染めて最後は牢屋に放り込まれたトンデモ企業であることを彼は理解していた上で「割り切った投資」をしていたのだろうか?まさか誰かの推奨銘柄ではないだろうか?

丸石は4期連続赤字の「自転車操業」。駄洒落にもならないわけだが、架空増資疑惑が発覚したことは記憶に新しい。つまり総額3.5億円の第三者割当増資は、八木社長と引受先共謀し、「増資したことにしましょうや」という詐欺だったわけである。

社長は逮捕、中間決算は売上高の5倍強の130億円の赤字となる。その後、国際第一監査法人が脱走し、同社は上場廃止が決定、おまけに不渡りを出し銀行取引の停止となり同社は滅んでいった。

MA投資としては丸石が妖しいことは織り込み済みであった。なぜながら以前から丸石は香港の投資ファンドに絶対負けないディールを持ちかけていたのだから。

そのディールとは「下方修正付新株予約権」の投資家への付与である。丸石に50億円を払いこむ際に、香港の投資家は要するに割安に株を手に入れることができるわけだ。

勿論、泣かされるのは希釈化された既存株主である。俗に下方修正付新株予約権は麻薬と呼ばれ、既存株主の信頼を失うことさえ厭わなければ、とりあえずは資金を手に入れることができるという、無能な経営陣にとっては一度ハマルとヤメラレナイものであり、プライムシステム・セザール・北の家族・イチヤ、そんなボロ株と共に、それに群がる投資家の多くもボロボロに滅んでいったのである。勿論、引受先の投資家達は個人投資家に最後のババを掴ませて大儲けであることは言うまでも無い。

三菱自動車もそうだった。あの名門三菱がこの価格だからと買った個人投資家がいたかも知れない。これは「再生銘柄」で爆上だと。

しかし、IRでは公表されていなかったが、実は下方修正付転換株式の発行があった。投資家の中にもこれを知らない者がいた(なんで調べないのでしょうね)。 ダイムラーから支援打ち切りで滅びかけた三菱自動車に手を差し伸べたフェニックスキャピタル(740億円)・JPモルガン(1260億円)の資金は、当時三菱自動車株240円に対して、簡単に言えば、引受価格100円、最低30円までの下方修正がついていたのである。外資としては240円から一気に空売りして三菱株を底値に落とし、個人投資家をスクイズして売りでも買いでも大儲けしたのであった。

値動きのよい銘柄を盲目的に追うのは、たまには気晴らしになるかもしれない。有り余る財産と時間があればそれも一興と思うが、それは時間を敵に回すということであると同時に「通常有り得ないこと(もしかして復活?!とか)に賭けるギャンブルであることを自覚することが必要だ。

株価チャートによれば、ゴールデンクロスだった?陽線が立った?それは誰かがそのようにチャートを作ろうとしていることもあるのだ。証券会社のレポートで投資推奨銘柄になった?日本経済への見通しが暗いというレポートが発表された?なぜ、そのようなレポートを出す必要があるのだろう?投資家はそんな裏を読まずにはいられないのである。
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