社内政治とM&A
2004/10/11 05:25:18
先日の記事である経営者のハッタリを見抜け!が非常に好評で多数のメールを頂戴しました。投資をする側の立場から会社・経営陣を見た場合でしたが、今回はM&Aが発生する瞬間を見てみましょう。
貴方は某大企業(□□社)の新任の経営企画部長だ。しかし辞令の前でまだ着任していない。そこに電話がかかる。
M&A投資「もしもし、お世話になっております。★★です。経営企画部長の○○さん、ご栄転おめでとうございます。」
経営企画部長「相変わらず、君のところも早耳ですね」
M&A投資「前任の△△さんには大変お世話になりまして。ところでご挨拶を兼ねて一度お会いできませんか?」
経営企画部長「かまいませんよ」
後日、ミーティングがその会社で設定される。M&A投資側は専門家を取り揃える。青い目をしているが日本語はペラペラだ。しかし、なぜか会議は英語である。
経営企画部長が個人的な意見だが、と前置きしながら、同社の事業戦略のあるべき姿を仄めかしている。
M&A投資は理解する。
新任経営企画部長は、「新機軸」を打ち出すことでここで業績をつくり社内的な立場を確保し、次の社長候補として名を挙げようとしている。それも、着任後すぐにだ!
この部長は野心がある!相手にとって不足は無い。
M&A投資「さすが、卓越した時代認識ですね。であれば、貴社の事業戦略上、このようなオプションは検討の余地はございませんでしょうか?」
同社の属する業界の構造変化、他社の戦略の一般論(具体論は守秘義務違反になり話すことはできない。調子に乗ってそれを話す会社は、完全に信用を無くすものだ)を話しながら、同社の事業戦略上のM&Aが有効性であることを淡々と話をすすめていく。
経営企画部長が突然、話をさえぎってきた。
「いや、今は足元を固める時だから、そういうことには現状は興味が無い」
M&A投資「そうですか、何かありましたら、またよろしくお願いします」
そして、帰り道、徹夜でプレゼン資料を作った若手が聞いてくる。
「○○さんはあまり乗り気ではないですね。まだ社内を掌握していないからでしょうか?」
M&A投資「君はわかってないな。○○さんは今晩、電話してくると思うよ」
予感は的中した。「頂いた資料でいくつか質問があるのですが・・」
○○部長である。
M&A投資「そうですか、それではざっくばらんにお食事でもしながら情報交換をしませんか?男2人だけでなんですが」
その夜、M&A投資と部長で綿密な打ち合わせが行われる。□□社が成長するために手に入れるべきファンクションは何か、そして買収対象会社はどこが適切か。M&A投資のアイデアを披露する。部長は納得した模様だ。
さて、なぜ経営企画部長は、会議の席でより具体的な話を進めなかったのだろうか?
簡単である。
独創的なM&A戦略を自分のアイデアだと□□社内で主張するためである。
よって自分の部下がいないところで具体的な話を聞きたかったということだ。
遅からず、同社から、複数の投資銀行にM&A戦略立案の依頼が来るだろう。そしてコンペになるはずだ。この会社は必ず複数の選択肢を検討する優れた社内文化を持っているから、コンペになるのは仕方が無い。但し、そのコンペに我々が負けるはずがない。
なぜなら、我々のご提案は部長の意向に「偶然ぴったりと一致」しているからである。
(勿論、この話も[フィクション]でしょうね)
http://www.ma-investment.com/archives/2004/11/ma_2.html
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